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分析ツールとデータで特許出願戦略を強化

特許管理
Tags: AcclaimIP (アクレイムIP), Foreign Filings, 知財ビジネス管理

知財チームは、出願に関して多くの意思決定をする必要があります。複数の国での出願も考慮した特許出願の意思決定は、関連する法律、財務、市場の分析を伴う複雑なプロセスなので、意思決定には分析ツールやデータをさらに活用できる場面があります。

アナクアのAcclaimIP™ (アクレイムIP)外国出願レポートのようなデータを縦断的に分析したレポートは、発明のメリットに対する評価を容易にし、グローバルな特許出願戦略を包括的に強化し、競合状況に関する洞察を提供します。

発明のメリットに対する評価

 

特許の価値評価が困難とされるのは、特許の潜在的価値の明確化に必要なすべての情報と要因を把握しなければならないからです。出願に関する意思決定を行う前に、特許アナリティクスを活用すると、特許と先行技術の質を評価する支援となります。

以下のような分析ツールやデータは、発明の価値を測定するのに役立ちます。

  1. 優先案件の包袋から取得した意思決定支援のための公開データ

  2. 国際調査報告書およびカテゴリデータ

  3. AcclaimIPのような分析システムのダッシュボード

1. 優先特許の包袋から取得した意思決定を支援する公開データ

優先出願の包袋情報を使用して、これから出願を検討する特許の要件や権利が付与される可能性を評価することができます。また、追加で外国出願も必要になるのかなどを考慮する材料にもなります。

アナクアの外国出願レポートでは、出願および包袋のアクティビティをすべて確認できます。これにより、情報を取得して確認するために電子メールや電子フォルダをくまなく検索する必要がなくなり、時間が節約されます。

外国出願レポートからの例を見てみましょう。AcclaimIPを使用した場合、レポートの「意思決定支援のための公開情報(Desivion Support Publication)」セクションには、外国出願の拒絶、補正クレームおよび出願人の主張に関連するすべての包袋文書のリストが含まれています。

表1:外国出願レポートの「意思決定支援のための公開情報(Desivion Support Publication)」

 

このUSPTOの例では、非最終拒絶理由通知の後に、補正クレームが表示されています。非最終拒絶理由通知における審査官の主張と、弁理士が提出したこれらの補正クレームを確認すると、外国出願の決定の際などに考慮に含めるべき、登録される可能性のある最終的な特許請求の範囲をより正確に把握することができます。

優先出願の中間処理が順調に進んでいるなら、当初の出願計画を継続するか、拡張させることもできます。一方で、請求の範囲がすでに大幅に狭まっている場合は、出願計画を縮小したり、最も重要な国のみでの出願を検討することも考えられます。

2. 国際調査報告書およびカテゴリデータ

 

AcclaimIPでは、国際調査機関が作成する国際調査報告書(International Search Reports - ISR)のデータをすばやく表示できます。国際調査機関(International Search Authority - ISA)は、PCT出願に関連する先行技術を調査する特許庁機関です。

そのようなデータを使用して、発明の特許性を事前に判断しているのが次に示す例です。引用されたPCT文献には、審査官が各文献と請求項との関連性をどのように評価したかを示すカテゴリコード(X、Y、I、Aなど)が記載されています。

コードから、一般的な先行技術文献(A)の引用なのか、請求項の1つ以上の特許性に関連すると見なされたのかを判断することができます(X、Y、I)。

 

表2:AcclaimIpの引用セクションでは、調査の際に確認された先行技術にカテゴリコード、拒絶コード、フェーズコードが特許と検索レポートに注釈付けされます。

3. AcclaimIPのダッシュボード

熟練した弁理士でも、上に示したPCTのようなデジタル化された国際調査報告書を読み、これら11件の引用文献を評価するには、数時間を要していました。

現在は、アルゴリズムを活用したシステムの力を借りることができます。AcclaimIPのようなシステムを使用すれば、新規性(X)と自明性(Y)の両方で請求項に関連するとされたのは、最も上に記載された引用文献だけという経緯などが、ダッシュボードで視覚的に確認できます。AcclaimIPのダッシュボードのようなシステムを活用した調査は、発明の特許性と請求の範囲をよりよく理解し、意思決定プロセスを効率化するのに役立ちます。

出願計画の決定

 

複数の法域での出願を検討している場合、一般的には次の2つのアプローチがあります。

  1. 優先出願から12か月以内に選択したすべての法域に提出する。
  2. 特許協力条約(PCT)出願を行うことにより、出願期限を合計30か月(約2年半)に延長し、要件に従いPCT加盟国(現在157カ国)に出願する。

過去10年間の傾向として、特許権者は4カ国以上の特許出願を検討する場合、76%のケースでPCT出願を選択しています。考え得る最も可能性が高い理由は、PCTにより特許チームは、その特許ファミリーに追加投資を行うかどうかを決定する時間的猶予を得られる点です。

この傾向例は、AcclaimIPの分析専門家によるAnaquaのプロプライエタリデータを使用したものとなります。

PCT出願をすると、ISRと請求項からより多くの情報が得られます。どちらも、意図した請求の範囲を狭めたり、場合によってはそれらを完全に無効にする必要も生まれる可能性があるため、外国出願の意思決定に影響を与えます。

  • 選択したPCT受理官庁が作成する国際調査報告書により、当初希望していた特許の範囲が制限される可能性がある。
  • 一方、拒絶理由通知、提出された先行技術、再提出された請求項などを含む優先出願に関する調査を進める時間が得られる。これにより、最終的な請求項がどのようなものになる可能性が高いかを、より正確に把握することができるようになる(優先出願の法域だけでなく、外国出願の法域においても)。

分析ツールやデータは、事業にどのような影響を与える可能性があるかを評価することによって、発明の品質や得られる請求項を判断するのに役立ちます。自社の発明と関連製品をどの程度差別化できるかを判断したり、市場シェアを拡大できるかどうかや業界標準に貢献できるかどうかを理解したりするなどの、多くの知見に触れる可能性が生まれます。

競合特許の状況-競合特許ランドスケープ

外国出願を決定する際のもう1つの考慮事項は、自社が現在「どこ」で出願しているか、競合他社は「どこ」で出願しているかを理解することです。考慮すべき要素には、自社の事業が収益を上げている「ところ」、自社と競合他社それぞれの製造拠点、業界の現在の競合特許状況の把握などがあります。

市場は小さいが競合他社がほぼ常に出願している法域(多くの場合、それらの国に製造および/またはエンジニアリング拠点があることを示しています)にいくつかの重要な特許を出願することは、侵害を発生源で阻止することになり、競争上の優位性につながります。次の例で考えてみましょう。

 

表3:外国出願の過去データを主要競合企業と比較した図。特定の国や地域におけるギャップなどを確認することも可能。

 

この例では、競合他社1は、自社と比較して、インドでの出願件数が多いことがわかります。知財プロフェッショナルは石油やガスの探索・採掘市場の専門家ではないので確実な答えは出せませんが、競合他社1がインドに製造・エンジニアリング拠点を持つためだと仮定しましょう。この出願データは、競争上の脅威に備えるためにインドで特定の特許を出願しようと検討するとき、必要な競合情報を得るのに役立ちます。

この種のデータを社内でいちから作成してまとめるには、非常に多くの時間がかかります。

AcclaimIP外国出願レポートのようなシステムを活用した情報を使用すると、一貫性のある競合データと洞察をワンクリックで得ることができ、外国出願に関する意思決定の支援となり得ます。

 

知財チームの視野を広げる出願データ

 

限られた情報だけで特許出願の意思決定をしたり、連携が不足した作業は避けることができます。Excelの表にまとめたり、数時間、または数日かけてさまざまなグラフを作成したりする時間を少なくすれば、付加価値を生み出すタスクにその時間をまわすことができます。

チームにとって最適な分析ツールを使用すれば、グローバル市場または外国出願に関する情報にもとづいた、有意義な意思決定に必要な洞察を得られます。知財チームは、自社の発明のメリットを事前に評価する足掛かりができ、自社が持つ知財がグローバル市場でも競合他社から保護されているという理解を得ることもできます。

 

>>> このブログで紹介したAcclaimIP外国出願レポートは、AcclaimIP Analyst+(plus)のユーザー様、Premium Analyticsをご契約のAQX®ユーザー様がご利用できます。

アナクア 分析ソリューション部門 シニアディレクター マット・トロイヤー (Matt Troyer)